都庁職衛生局支部は患者・職員に犠牲を強いる
都立病院の地方独立行政法人化に断固反対します!
去る3月30日に、都立病院を所管する東京都病院経営本部は「都立病院新改革プラン2018」を発表いたしました。今後の都立病院の果たすべき役割や持続可能な病院運営の実現に向けた、新たな改革を示す中期計画となっています。(計画期間は平成35年度までの6年間)
この新改革プランでは、都立病院経営委員会からの報告を踏まえ、今後の都立病院の経営形態について「地方独立行政法人化」を含めた各経営形態におけるメリット・デメリットの検証を行い、経営形態のあり方について、本計画期間中に結論をだすとの内容が公表されました。
この新改革プランに先立ち開催された都立病院経営委員会の報告では、「安定的な経営基盤の確立」と「柔軟な対応」を可能とする非公務員型の地方独立行政法人化が都立病院の経営形態には最もふさわしい。とする内容までが盛り込まれていました。
私たちは、地方独立行政法人化は都民や職員に犠牲を強いるものであり、行政的医療を安定的に提供する都立病院の役割に最もふさわしくない経営形態であるとして断固反対いたします。
都立病院の独立行政法人化は都民が望んだものではない
都立病院経営委員会は会議内容や報告において、年間400億円の一般会計繰入金を問題視して独法化の必要性を訴える議論を展開しています。
そもそも都立病院は都民の命を守るため、高度救急や周産期医療、小児救急や精神科救急、感染症対策などありとあらゆる行政的医療を担っています。当然、それらの医療は不採算医療(常に病床を確保する必要があるため、採算性が低く民間病院では行われない医療)とならざるを得ないものがほとんどです。その議論をないがしろにして、一刀両断に切り捨てられて良い話ではありません。ましてや都立病院の経営は経常収支でみれば黒字であり、健全な経営を行っていると言えます。
なによりも独立行政法人化の議論は都民が望んだものではないという事です。都立病院経営委員会の報告は一部の委員の意見が反映されたものであり、都民の意見はどこにもありません。もっと都民に開かれた議論を行うべきです。
都立病院の独立行政法人化は都民や職員に犠牲を強いるもの
都立病院経営委員会の報告では、独法化することで
・ 人事・給与等を法人が独自に定めることができ病院の実情にあった迅速な配置や人材確保が可能となる。
・ 予算の単年度主義がなくなり事業運営の機動性、弾力性が向上する。
・ 多様な契約手法が可能となるため経済性を発揮することができる。
・ 目標管理と実績評価、情報公開により経営が良くなる。
など、様々な独法化のメリットをあげて、都立病院にふさわしい経営形態であると主張しています。
では、都立病院経営委員会が目指す病院とはいったいどんな病院なのでしょうか。
一言でいうと「もうける病院」をつくりますということです。本当に公立の病院として正しいあり方なのでしょうか。
「もうける病院」をつくるためには、必ず患者さんや職員にしわ寄せがあるということに他なりません。メリットのみを並び挙げて、デメリットを都民にきちんと示さないのは不誠実であると言わざるを得ません。
独法化された公立病院を例にデメリットをいくつか紹介します。
患者さんのデメリット
・ 多人数病室が減って個室が多くなった。(個室料を沢山とれるから)
・ 個室料金が非常に高くなった。(料金を自由に設定できるようになるから)
・ 入院に際して高額な保障料を納めないといけなくなった。(お金がないと入院できない)
・ テレビ代やリネン代などが高くなった。(自己負担のものが増える)
・ 各種手数料(証明書料など)が高くなった。(料金を自由に設定できるようになるから)
職員のデメリット
・ 人件費を削減するため、看護師等の給料を削減した。
⇒ 多くのベテラン職員が辞めていき。新規採用の職員が多くなった。
(職員の質が低下し新規募集も集まらない。すぐ辞めていく。などの悪循環へ)
・ 人員が不足して、過密・長時間労働を強いられる。
⇒ 不払残業やメンタル不全など労働条件が悪化
・ 高すぎる目標管理のもと、きちんとした実績評価が行われない。上司への意見が言いにくい。
⇒ モチベーションの低下。モラルの低下。
以上のような例は、都立病院ではあり得ません。
なぜなら、都立病院は公立の病院であり、そこで働く職員は公務員だからです。
都立病院の経営やそのあり方については、必ず都民の代表である都議会のチェックを受けます。それは常に都民の目が注がれているということです。そして、すべての職員が公務員であるからこそ、都民の命を守るという使命と誇りをもって働いているのです。
都庁職衛生局支部は都民や患者・家族の皆さんのため。そして働く仲間のために都立病院の地方独立行政法人化に断固反対していきます。ぜひ、御支援と御声援をお願いいたします。